「資格が多すぎて、どれが電気設備設計に本当に役立つのか迷ってしまう…」と悩んでいませんか?
そこで、今回は電気設備設計に関連する資格の種類とその活用方法について解説します。
この記事を読めば自分に合った資格の選び方もわかるので、ぜひ最後まで読んで学んでください。
電気設備設計におすすめの資格9選
電気設備設計に携わるうえで取得しておくと有利な資格は複数あります。
ここでは、設計業務に直接関係するものから、キャリアアップや年収向上に役立つ資格まで、厳選して9つ紹介します。
- 電気工事施工管理技士
- 建築士(一級・二級)
- 設備設計一級建築士
- 建築設備士
- 消防設備士(甲種・乙種)
- 電気工事士(第一種・第二種)
- 電気主任技術者(電験1〜3種)
- 電気通信工事施工管理技士
- 技術士(電気電子部門)
①電気工事施工管理技士
電気工事施工管理技士は、電気工事に関する施工管理業務を担う国家資格で、設計図の作成や施工の安全管理などの役割があります。
特に1級は大規模工事にも対応できるため、企業からの評価も高く、転職や独立にも有利です。
設計者としての視点を持ちつつ、現場の流れを理解している証明にもなるため、電気設備設計を行う技術者には非常におすすめの資格です。
近年では人手不足もあり、資格保有者へのニーズが高まっているため、取得すれば現場での活躍の場が広がります。
実務経験が必要ですが、電気工事士などの関連資格を取得していればスムーズに受験まで進めます。
②建築士(一級・二級)
建築士は、建物の設計に必要不可欠な国家資格で、設備設計においても非常に重要な位置づけとなります。
電気設備設計は建築全体との調整が不可欠なため、建築士として建物の構造や機能を理解していると、より整合性のある設計が可能になります。
一級建築士はすべての建築物を対象に設計ができる一方、二級建築士は規模に制限がありますが、現場レベルでの設計実務には十分です。
特に、意匠・構造設計と協働する場面では、建築士の資格があると信頼性が増し、業務の幅も広がります。
電気設備設計の上流工程に関わりたい人にとって、取得しておく価値は非常に高い資格です。
③設備設計一級建築士
設備設計一級建築士は、特定の大規模建築物(3階以上かつ床面積5,000㎡以上)の設備設計において、法律上必須とされる専門資格です。
これは、平成18年に改正された建築士法によって設けられた比較的新しい資格で、取得には一級建築士として5年以上の設備設計の実務経験が求められます。
さらに、3日間の講習と修了考査に合格する必要があります。
難易度は高めですが、設備設計における最高峰の資格として業界内での信頼度も非常に高く、公共施設や大型ビルの設計に携わりたい人には必須とも言えるでしょう。
専門性を証明できる資格として、将来的に目指す価値があります。
④建築設備士
建築設備士は、建築士に対して建物設備に関するアドバイスを行う専門資格です。
主に空調、衛生、電気などの各種設備における計画や設計段階での意見具申を行うことが可能で、設計者としての補佐的な立場ながら重要な役割を担います。
建築設備士の資格を持っていれば、二級建築士や木造建築士の受験資格を得ることができ、さらに4年以上の実務経験を積むことで一級建築士の受験資格にもつながります。
設計者としてステップアップしたい方にとって、最初に目指す資格としても有効です。
また、設備全般の知識を網羅的に身につけられるため、電気設備設計においても応用が利きやすい点が大きなメリットです。
⑤消防設備士(甲種・乙種)
消防設備士は、火災報知器やスプリンクラー、避難誘導灯など、建築物の防災設備に関する設計・工事・点検業務を行う国家資格です。
電気設備設計とは一見無関係に見えますが、実は消防設備も電気設備の一部であり、配線や電源計画が必要なため、密接に関わっています。
特に甲種は工事まで対応できるため、より実践的なスキルが求められます。
設計段階で消防法に適合した図面を作成する際、この資格があると判断力が増し、設計品質の向上にもつながります。
また、消防設備士の知識は安全性を重視する現代の建築設計において、設計者としての付加価値を高めてくれるでしょう。
⑥電気工事士(第一種・第二種)
電気工事士は、電気設備の配線工事や器具の取り付けなど、実際の工事を行うために必要な国家資格です。
第二種は一般住宅や小規模施設の電気工事が可能で、受験資格もなく初心者でも挑戦しやすいのが特徴です。
一方、第一種は高圧電力設備や大規模施設への対応が求められ、より専門的な知識と技能が必要です。
直接的な設計資格ではありませんが、電気工事施工管理技士の受験要件として認定されており、設計業務への足がかりとなる資格です。
実務経験を積むことで、より上位資格へとつなげていけるため、キャリアのスタート地点として非常に価値があります。
⑦電気主任技術者(電験1〜3種)
電気主任技術者、通称「電験」は、電気設備の保安・点検・維持管理を担うための国家資格で、1種・2種・3種の3段階に分かれています。
設計業務に直接関わる資格ではありませんが、資格保有者には設備全体を俯瞰する能力が求められ、設計者としての視点を広げるのに役立ちます。
また、この資格を持っていると電気工事施工管理技士など他の資格の受験要件にもつながるため、スキルアップの土台としても非常に有効です。
特に企業の中で電気設備全体を管理・監督する立場を目指す場合は、電験の取得が大きなアドバンテージとなります。
⑧電気通信工事施工管理技士
電気通信工事施工管理技士は、通信ネットワークやIT関連設備の施工・管理に特化した国家資格です。
令和元年に新設された比較的新しい資格で、5GやIoTの普及により需要が急増しています。
電気通信工事は電気設備の一部とされ、LAN配線や防犯カメラの設置などの設計業務も含まれます。
これにより、通信インフラと建築設備の両面から設計に携われる技術者としての価値が高まります。
将来性のある分野でキャリアを構築したい方にとっては、取得しておきたい注目の資格です。
⑨技術士(電気電子部門)
技術士(電気電子部門)は、電気設備分野のコンサルタント的立場で業務を行うことができる高度な国家資格です。
設計そのものを担うというよりも、設計内容の評価や改善提案、プロジェクト全体の監理など、より上流の業務に携わります。
そのため、実務経験や技術力が評価される資格であり、社会的信頼も非常に高いのが特徴です。
資格を取得することで、自治体や大手企業の案件に参画しやすくなり、専門家としての独立も視野に入れることができます。
設計の実務者というよりは、リーダーや監修者としてのステップアップを目指す方に適しています。
資格取得の優先順位と選び方
電気設備設計に関わる資格は多岐にわたり、それぞれ難易度や実務での活用範囲が異なります。
どの資格から取得するべきかを見極めるには、現在のキャリア、業務範囲、将来の目標に応じた優先順位を整理することが大切です。
ここでは、初心者からステップアップを目指す人まで、それぞれの立場に合わせた選び方と資格取得の流れを解説します。
初心者におすすめのスタート資格
電気設備設計の業界にこれから入ろうとしている人や、実務経験が少ない人には、基礎から学べる資格を最初に選ぶのがおすすめです。
中でも「第二種電気工事士」は受験資格が不要で、初心者が挑戦しやすく、電気設備の基礎を実務レベルで理解するきっかけになります。
合格後に実務経験を積むことで、より上位の資格である「電気工事施工管理技士(二級)」などの受験資格を得ることも可能です。
また、文系出身者や建築未経験者でも独学しやすい教材や通信講座が充実しており、社会人でも無理なく勉強を進められます。
資格を取得することで現場の安全意識や施工の知識が身につき、今後の業務でも非常に役立つ基盤になります。
初心者にとっては、まずこのような実務直結型の資格から始めることで、キャリアの方向性も見えやすくなるでしょう。
設計に直結する資格を優先する
すでに建築業界や設備設計に携わっている方には、設計業務に直結する資格を優先的に取得することが重要です。
たとえば「建築士」や「建築設備士」は、設計図作成や施主・他業種との調整業務に直接的な影響を与えるため、現場の信頼性を高める武器となります。
特に、電気設備設計は建築全体との整合性が求められるため、建築士としての視点を持つことは業務効率や設計品質の向上に直結します。
また、「電気工事施工管理技士」も、施工現場での知識と設計の整合を図るうえで非常に有効です。
これらの資格は受験に実務経験を要する場合が多いため、自分のキャリア状況を踏まえ、計画的に勉強を進める必要があります。
設計メインのキャリアを築きたいなら、こうした設計寄りの資格を早い段階で目指すことで、担当業務の幅が広がり、プロジェクトの中核を担えるようになります。
将来性を考えた上級資格の検討
ある程度の経験を積んだあとには、より高度な資格の取得を目指すことで、キャリアの選択肢がさらに広がります。
代表的なのが「設備設計一級建築士」や「技術士(電気電子部門)」などです。
これらは高度な専門性と長年の実務経験が求められる分、取得すれば業界内での地位や収入面でも大きなアドバンテージとなります。
特に設備設計一級建築士は、特定規模以上の建築物において設備設計が独占業務となるため、大型案件に関与したい方には必須の資格といえます。
また、技術士は設計そのものというよりも、プロジェクト全体の監理やコンサルティングといった立場で活躍できる資格であり、将来的に独立を目指す人にも向いています。
上級資格は勉強時間や取得コストも大きいため、将来の働き方や目指す業務範囲を具体的に描いたうえで、計画的にチャレンジすることが成功の鍵となります。
電気設備設計の図面記号も押さえておこう
電気設備設計に携わる際、図面記号の理解は欠かせません。
図面に使われる記号は、配線や機器の種類、設置位置などを正確に伝えるための共通言語です。
資格の有無にかかわらず、設計者として基本的な記号を把握しておくことは重要です。
図面記号を理解することの重要性
電気設備設計では、さまざまな機器や回路、通信設備が1つの建築物に集約されます。
それらを正確に表現し、関係者に伝えるために不可欠なのが図面記号です。
たとえば、照明器具、コンセント、スイッチ、分電盤、弱電設備など、それぞれに定められた記号があります。
これらの記号を正しく使うことで、現場の施工者との認識のずれを防ぎ、設計通りに安全・正確な施工が可能になります。
逆に、図面記号が誤っていたり、読み手が理解できなかったりすると、施工ミスや手戻り、コスト増の原因になりかねません。
さらに、他の設計者との共同作業や図面チェックの効率にも大きく関わってきます。
図面記号は、いわば設計業務の共通言語であり、資格取得と並行して学ぶべき基本知識のひとつといえるでしょう。
電気設備でよく使う図面記号の種類
電気設備の図面記号は多岐にわたりますが、特に使用頻度の高いものとしては、以下のような分類が挙げられます。
まず「照明記号」では、蛍光灯・ダウンライト・非常灯などを示す記号があり、それぞれ形状や用途に応じたマークが定められています。
「コンセント記号」は、一般用・エアコン用・防水用などの種類に応じて異なり、配置の違いを明確にします。
「スイッチ記号」では、片切・三路・調光などの制御方式による違いがあり、配線経路と連動して図示されます。
また、「分電盤・配電盤記号」では、主幹・分岐・漏電遮断器の配置が視覚的に理解できるようになっています。
近年では「LAN・電話・TV」などの弱電設備記号も重要度が増しており、オフィスや住宅のIT化に対応するためには正確な記号運用が求められます。
JIS規格に準拠した記号を使用するのが基本ですが、社内ルールや設計者独自の表現も存在するため、図面凡例で補足説明を加えるのが一般的です。
図面記号を効率よく覚えるコツ
図面記号は種類が多く、一度にすべてを覚えるのは難しいものです。
効率よく習得するためには、まず「用途ごとに分類して覚える」ことが有効です。
たとえば、「照明系」「コンセント系」「制御系(スイッチなど)」「通信系」などジャンルごとに分けることで、構造的に理解できます。
次に、「実際の図面を見ながら覚える」方法も効果的です。
記号単体で暗記するより、設計図の中でどのように配置され、どんな意味を持って使われているのかを視覚的に理解することで、記憶に定着しやすくなります。
また、記号の読み取りに慣れるだけでなく、自ら手を動かして図面を描いてみることで記号の使い方が身につきやすくなります。
最近では、JIS記号を一覧化したポスターやアプリもあるため、空いた時間に繰り返し見て習慣化することもおすすめです。
資格勉強の合間に少しずつ覚えるようにすれば、設計実務に入ったときに大きな武器となります。
図面記号の理解は図面作成のスピードだけでなく、施工側との信頼構築にもつながる重要なスキルです。
まとめ
今回の記事では、電気設備設計の資格について解説しました。
資格によって設計・施工・監理の対応範囲が異なるため、目的に合った資格を選ぶことが重要です。
将来のキャリアを見据え、計画的にステップアップしていきましょう。